ふくろう

漫画誕生のふくろうのレビュー・感想・評価

漫画誕生(2018年製作の映画)
2.9
確かに漫画が生まれる話なんだけど、漫画が生まれる描写はほとんどない。
タイトルから予想される産みの苦しみ的なのとか、認めさせるために社会と戦うとかそんなシーンがほぼないのだ。
そもそも、漫画の生みの親は誰なのか。鳥羽僧正か葛飾北斎か、それとも手塚治虫か。北沢楽天。誰なのさってとこから入るのだけど風刺漫画を描き少女漫画をつくり幼年漫画も求められるものをなんでも描いた。「お茶目」って言葉の元になったキャラクターを産み出したというのだから、全然知らない人なのに当たり前のように影響を受けている。手塚治虫少年の漫画表現との出会いもこの人の全集だというのだからなんだそりゃ。すごい。
福澤諭吉と会ってるとかそんな時代の人だけど、最盛期は総理大臣より稼いでいたとか。

諭吉先生も映画に出てきてたけど、なんか違った。

この映画が面白いのは演出がほんとに漫画的というか登場人物ひとりひとりが個性が誇張されほんとに漫画のキャラみたいな演出がされていて、キャラクターが動き出したり、暗転してフランスのデフォルメされた寸劇に移ったり、最後現代に繋がって終わるんだけど、そこがびっくりするくらい自然。一時間以上ずっと真面目に時代劇やってて突然原稿の中のキャラが動いてしゃべり出しても違和感ないのは凄い。

たぶん、これも漫画意識してるのかな?映像が明るい。中途半端な色情報をばっさり捨てて、明るく見易くする漫画みたいに、明治〜昭和の蛍光灯のない時代の話だから、普通ちょっと薄暗くしたりセピア感出すことが多いんだけど、光の当たり方とか自然光っぽい感じなんだけど明るいんだよね。