このレビューはネタバレを含みます
いい父親の思い出とか子供の幸せな最後の日々とかよりも、なによりもあの母親のクレメンス・ポエジーの無責任さと傲岸不遜さに対する怒りが全てを上書きしてしまう。
8年前に子供を捨てた奴がなにを今更親権とか言ってやがるんだ!と腹が立ったし、裁判で負けても「当然だろカスが」と唾ぐらい吐きたいような気持ちにさせておきながら、今度はDNA検査までするクソ加減。
別の男の可能性が高いはあるよなあとはかすかに思っていたけど、それでも親権が母親に移るとは思っていなかった。
8年前に子供を捨てた、しかもいろんな男と関係を持っていたクズ母と、いきなり子供を押しつけられて8年育てた養父の、どっちに社会性があって、どっちが親権を持つにふさわしいか、どっちが子供のためになるか、なんて考えなくてもわかるんじゃないの? それでも血が大事なのか?
最後はみんなで幸せな時間を過ごして、父親という立場になれたことに感謝とかオチをつけようとしてたけど、そんなに気持ちは切り替わらない。まだまだあのクズ母に腹がたっている。養父も養父だ、よくあんなクズ母と一緒に笑って過ごせるなあ? いくら余命幾ばくもない子供のためとはいえよう。そんな敵役と最後に仲良くハッピーエンドなんて無理だよ。
子供もいきなり現れた母親に懐きすぎる不自然さはあったけれど、8年もイギリスにいて英語も喋れない養父もどうかと思うけど、スタントでなんで学校を欠席させるのかも理解できない。そうつらつらと考えているといきなり親権を騒ぎ立てるクズ母も違和感ありすぎるんだが、それでも憎まれ役としてバチっとハマったのはやはり彼女の演技力がすごいのだ。
もちろんクレメンス・ポエジーが悪いわけではないし、汚れ役、憎まれ役で見事に観客をムカつかせたのは素晴らしい演技力によるものだが、あの破廉恥な、傲岸不遜な態度が最後まで印象に残った。その後のお話なんてまるでなかったかのように彼女への嫌悪感が強いのだ。