黒しゅが

あしたは最高のはじまりの黒しゅがのレビュー・感想・評価

あしたは最高のはじまり(2016年製作の映画)
4.2
「時には嘘が必要なこともある」

サミュエル(オマール・シー)はコート・ダジュールの海で、照りつける太陽の下、ヨットで観光客を案内するプレイボーイである。
ある日、サミュエルの元にクリスティン(クレマンス・ポエジー)と名乗る女が現れ、サミュエルの子だと言い残し赤ん坊を置いて去ってしまう。
ロンドンまでクリスティンを追いかけたサミュエルだったが、クリスティンの行方は分からず、言葉は通じず、現金も失ってしまう。
なんとか地下鉄で知り合ったベルニー(アントワーヌ・ベルトラン)を頼り仕事を手に入れたサミュエルは、娘のグロリアに不器用ながら精一杯の愛情を注ぎ、8年の歳月が流れたのだが。


ストーリーに目新しさは無く、よくある親子愛を描いたヒューマンドラマである。
しかし、差別化されている点として、サミュエルとグロリアの親子の交流をかなり密に描いている部分が挙げられる。他の類似作品と比較しても親子関係は美しく表現されていると感じた。
グロリアの母であるクリスティンを、明確に悪役として配置することで、より一層サミュエルの愛情が際立つようになっている。
コメディアンであるオマール・シーを主演に据えていることからも予想はできると思うが、コメディ要素も多い。シリアスなシーンとのバランスがかなり秀逸である。
そして、グロリア役のグロリア・コルストンの溌剌さが、この作品の結末を引き締めている。笑顔も、シリアスな表情も実に上手く、グロリアが別の子役ならもう少し評価は下がったかもしれない。映画初出演ということだが、これからの活躍に大きく期待したい。
正しく傑作と呼べる作品だった。