このレビューはネタバレを含みます
今でも忘れられない程の恋をした元彼(ハギオ)と、現在の彼(せいちゃん)との間で静かに揺れ動くツチダの様子が描かれています。
原作自体、普遍的で静かな物語ですが、映画においても静かな雰囲気が守られていた印象です。
原作の彼とは正直、印象が異なる太賀でしたが、太賀ならではの温かさがあり素敵でした。
ハギオは最低と言えるような男ですし、せいちゃんも夢を追いヒモ男気味。側から見れば、どちらもそんな男…と思いますし、実際に作中で周囲の人には止められます。
原作では、ハギオに会った時に足が震えたという表現がありますし、忘れられない相手なんですよね。一方のせいちゃんも人間的な魅力のある青年で惰性で続けてしまう。簡単には切り捨てられないツチダの迷いというか、静かな心の揺れ動きが画面を通じて伝わりました。
メインの二人のもどかしい関係性が良かった作品です。