あたりまえだからこそ 儚くて尊い わたしたちの日常。
約20年ほど前にCUTiE comicで連載されていた漫画が原作。
今でも、好きな漫画はなに?と訊かれたら"南瓜とマヨネーズ"と答える人は男女問わず多いのでは。
お洒落で憧れだった年上の女性がこの漫画を貸してくれてから、私もかぼマヨファン。
主演は臼田あさ美、大賀、そしてオダギリジョー。
音楽は相対性理論のやくしまるえつこが担当し、ビジュアルは小島小鳥が撮影。
思わず唸るほど、絶妙なキャスティング。
監督は、"乱暴と待機"や"ローリング"の冨永昌敬。
冨永監督はカメレオンのように、作品によって作風を変えているのではと思うくらい毎回イメージがすごーく変わる。
原作を噛み砕く能力がものすごく高いんだろうな。
今回の作品もまさしく魚喃キリコっぽさ満点で、求めていた通りの質感だった。
臼田あさ美演じるツチダが、同棲中の売れないバンドマンせいちゃん、昔好きだったクズ男バギオの間で揺れるラブストーリー。
2人のろくでもないオトコの間で揺れるツチダは、まさにろくでもないオンナだろう。
でも、そこにはみんな最低だねって一言では解決できない胸の痛みや懐かしさがある。
どのキャラクターに共感出来なくても、ふとした瞬間、自分も体験した事があるような感覚になってしまうのはそのせいなのかな。
綺麗事ではないわたしたちの恋愛は、この作品の何処からでも切り取ってこれるくらい、ありきたりなものなのかも。
静かな生活音が、そっと寄り添うように優しく流れ、最後には涙が込み上げる。
戻りたくはないのに、心のどこかで追いかけていた過去を思い出した。
大賀の演技が満点だったな。
あの笑顔は優しすぎてずるい。