Daiki

南瓜とマヨネーズのDaikiのレビュー・感想・評価

南瓜とマヨネーズ(2017年製作の映画)
3.8
2017年公開映画133本目。

ありふれた毎日が実は一番幸せ。

平等に与えられたわけではないそんな愛おしい日常は、ほんの些細な刺激を引き金として、有り難みを感じなくなり、盲目になる。
失うのは容易く、切なく脆い。
本作は、壊れてしまった当たり前の日常と静かに去っていった昔の日常、両方を描く。
叶えたい夢と叶えなければならない夢。
同じようで全く異なる夢との向き合い方。
どちらも一長一短だか、人によって向き不向きがある。
ツチダとせいいち、二人の向き合い方は異なっていた。
淡白な映画だが、人間らしさの詰まった魅力的な作品だった。

「南瓜」と「マヨネーズ」。
同じ食材だが、端的に言えば野菜と調味料。
スーパーに行けば同じ屋根の下にあるし、家では冷蔵庫という同じ空間に置かれている。
しかし、南瓜は野菜のゾーンに、マヨネーズは調味料のゾーンに置かれ、二つが横に並んだ光景はどこか落ち着かない。
離れすぎてもいない、かと言って近すぎると上手くいかない。
ツチダとせいいちの距離感はまさしく「南瓜とマヨネーズ」である。

そしてラストに訪れるエンドロールの静謐。
同居人がいてこそ聴こえてくる生活音。
独り暮らしで聴こえるのは自分が任意に発した音だけ。
それは独りになって初めて気付くこと。
「ありふれた平凡」に思えた同居人の発する音。
バンドは独りでは成り立たない。
他の人と音を任意に出し合って音楽を創るもの。
つまり幸せも同じである。
何とも言えない重々しさを感じさせられる作品だった。