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ビジランテのkoheiのレビュー・感想・評価

ビジランテ(2017年製作の映画)
3.6
途中までは、なんだこのクソどうでもいい話はと思ってたけど、じわじわくる怖さと面白さ。クソどうでもいい話は、やはりわたしたちの世界の投影だった。

「太陽」とか「22年目の告白」とかでは無駄なセリフとかも目立ってたけど、今作はフィルムノワールとして静謐で物哀しい世界を作り上げてくれていたので大袈裟ではない等身大の人々に恐怖できた。

あと、インパクトのある映像とそれを想起させる「もの(風景)」の演出がうまい。川、手、ナイフ、写真、グラス、石、ガソリン等が想起させる様々な恐怖映像。こういった小道具や風景を写すだけでそれに付随した映像を脳内再生させてしまうのだから、怖いったらありゃしない。

自警団のあの青年、怖かったぁ。ヤクザよりも何よりもああゆうのが一番怖いぞ。この前ドラマ版の「セトウツミ」にも出てたけど、入江監督がその雰囲気に圧倒されてオーディションを通したというのも納得できるほどオーラがびんびんだった。

正しさを追い求めるものと損得に縛られるもの、そして逆らうことができない大き過ぎる存在。二郎の生き方をするしかないのだけど……。大きな「家」のようなこんな田舎が実際にあるかどうかは分からないけど、世界はまさしくこうなんだ。
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