たいてぃー

ビジランテのたいてぃーのレビュー・感想・評価

ビジランテ(2017年製作の映画)
3.6
入江監督の前作の「22年目の告白」が好評のようだし、これからも原作ものと思いきや、今作は入江監督のオリジナル脚本。バイオレンス満載の遺産相続もの。だけじゃなく、家族愛や地方都市の暗躍、外国人問題を絡めて、社会派って要素も含めている。
冒頭は、川を三兄弟が逃げ父親に捕まるってとこから始まる。画面が暗くてわかりづらいが、緊張感がみなぎっている。この父親役に、菅田俊。こんな役は流石に上手い。この父親に育てられた、子供たちはどう成長するのか。
で、この後はこの父親が死んで葬儀シーンに跳ぶ。成長した二郎、三郎を鈴木浩介、桐谷健太が演じる。市議会議員の二郎の妻役に篠田麻里子。彼女がとんでもない強欲ぶりを演じる。自警団の青年が入院してるところを見つめる時の目が怖い。桐谷もこれまたスゴい。義理や人情って、ベタな言葉だけどそれを実直に表現、畏れ入った。
一郎役の大森南朋。最初の登場は、情婦の間宮夕貴とのエロいシーン。間宮は、前作の「風に濡れた女」での一風変わった女役が印象に残るが、本作では従順な女を熱演。強欲な二郎妻と対比しているのか。そして一郎。家を出てから、色々とあったんだろう、借金で追われる身となって。落ちぶれた風情が絶妙。でも家を守る意識もあって。何かとらえどころのないって役をこれまた熱演。
でも、最近の日本映画での過激な表現に慣れてきたとはいえ、かなりキツイシーンがあって、不快さを覚えた。これが本当に必要だったのか、疑問が残る。