このレビューはネタバレを含みます
脚本がとても良かった映画。積み重なり、すれ違いつづける展開に2時間惹きつけられました。
地方都市を舞台にした、土地の利権争いに巻き込まれる三兄弟の話。
ビジランテは「自警団」という意味ですが、長男の持つ土地の相続権を焦点に、三兄弟それぞれが、それぞれに守るものがありつつ、
もしかしたらそれよりも大事なものの周辺を、ぐるぐると回って決して中心には辿り着けない感じ。
いろんなエピソードがあるのですが、それぞれの組み立て方が上手で、ああ、ここに繋がるのか、こう順序立てるのかって勉強になりました。
それでいて、語らないところ、想像に任せるところ、見せなくていいところはバッサリ切ってます。
あの三兄弟が、ちゃんと食事に行けてたら、話ができてたら、あの結末にはならなかっただろうなと思います。
中心に行けず、囚われ逃れられないままもがく様を描いた映画かなーと。
主役の桐谷健太が、パッと見怖そうだけど、優しさが分かってよかった。
最後の這いつくばるカット、その表情が切なくかっこいい。
痛いシーンは、ゾワッとするほど痛いです。
追記
一郎の動機や過去が語られないのは、それこそ三兄弟での食事のときに語られるべきものだったからだと思う。
二郎や三郎の思いもその時に。
すれ違いと死によってそれらの機会は失われて、永遠に知ることができない。