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めがみさまのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

めがみさま(2017年製作の映画)
4.0
閉塞的な郊外の田舎町。母・市絵(筒井真理子)の過干渉や職場のいじめに、精神安定剤を服用しながら何とか日々やり過ごしてきた佐倉理華(松井玲奈)は、人生に絶望し、遂に自殺を決意する。
そんな折、自分と同じ環境を克服したというセラピストのラブ(新川優愛)の存在をネットで知った理華は、会いに行くことに。「他人の人生の中で生きるんじゃないわよ。自分の中で、自分の人生を生きなさい」というラブの言葉に感銘を受けた理華は、家を出てラブが開催する自己啓発セミナーの手伝いを始める。
自分らしさを取り戻していく同士たちとの交流、そして同じようにラブに救われた川崎拓海(廣瀬智紀)との出会いによって、理華の日常は順調に回り出す。
しかし、急速に距離を縮めていった理華とラブだったが、ある事件をきっかけにその関係に不協和音が生じ始め……。
最初のうちは、勤めているクリニックでは同僚にいじめられ、母親から虐待され自分に自信がなく虐げられメンタル病んでいる理華が、理華と似た環境から回復したセラピストのラブと出会い、ラブの「人間は赤ちゃんのように、自分の欲求や気持ちに正直に、自分の人生を生きるべき」という考えに感化され、セラピーの参加者と人生を変えていくヒューマンドラマ。
セラピーの参加者同士が感情をぶつけ合い、事件を起こして、ラブを取材した週刊誌記者がラブを告発しようとしたところから、ラブと理華の関係やラブの正体が判明する後半は、サイコサスペンスに展開していくストーリーは、女子版「ファイトクラブ」。
なりたい自分と現実の自分のぶつかり合い、押さえつけてきた自我と欲望の暴走、「弁えろ」と押さえつけてくるバカな男の上司や赤ちゃんの泣き声を怒鳴りつけるバカなオヤジを理華やラブやセラピーの参加者がしばくくだりに共感しながらも、自分を守るためにろくに確かめず自分の悪口を掲示板に書いたと思い込みセラピーの参加者を傷つけたりセラピーを告発する記者を排除するのは、最初男同士が殴り合い生命の実感を確かめ合うファイトクラブがテロ集団に変化するのと同じことで一線を超えてしまう危うさと怖さがある。
難役を演じた松井玲奈と新川優愛の演技が見応えあるヒューマンサイコサスペンス映画。
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