社会学者

空飛ぶタイヤの社会学者のレビュー・感想・評価

空飛ぶタイヤ(2018年製作の映画)
4.0
内容は面白かったですが、「不正を隠す巨大グループ企業VSそれに立ち向かう中小企業」という構図はシンプル過ぎるなという気がしないでもありません。
ところで、組織とは経営学者や社会学者達によって色々な定義があると思いますが、「ある目的のために複数人(2人以上)が協働(協力して働く)するところ」というのが共通するのではないでしょうか?
社会学者マックス・ヴェーバーは近代的な官僚組織は極めて合理的な形態(上意下達、役割分担、文書主義等)をとっていると評価しつつ、その弊害も指摘しました。すなわち決められた役割のみこなし、その他は他の部署だからと何もしない等があげられます。しかし、最大の弊害は組織の目的(お客様を幸せにする等)が組織維持(自己保身)になった時ではないでしょうか?
これは当然行政組織だけに限った事ではありません。この映画にも描かれているように、組織が大きくなればなるほど、どんな組織にもその弊害が現れてきます。
この映画では車の欠陥に対応するため、本来ならリコール(車の回収と修理)するべきところ、莫大に費用がかかり、また当然誰か(トップ?)が責任をとらなければならないため、リコール隠しをします。
組織に入る前は志や正義感などがあると思いますが、時が経るにつれ色々な人間関係のしがらみや利害関係などが働き、官僚化していくのはどんな組織も避けられないと思います。しかしこの映画に出てくる心ある各組織の人間のように、思考は停止しないで自分の良心に基づいて行動できる人間になりたいと思いました(そうすると、粛清の対象になるかな?)
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