saco

空飛ぶタイヤのsacoのレビュー・感想・評価

空飛ぶタイヤ(2018年製作の映画)
3.3
池井戸潤著書は、『空飛ぶタイヤ』『下町ロケット』『鉄の骨』が私の中のベストで、この3冊で全部出し切った感がある。
そしてタイヤは、とっくに映画化された気がしていた。
文章で充分堪能したので、映像はもう見なくてもいいかなぁと思っていたが、いざ観てみるとなかなかの秀作で、ドキュメンタリーを見せられているような臨場感が良かった。
大企業と銀行と中小企業、利害と不正と必死に立ち向かい壁を打ち破ろうとする正義と、それぞれの立場の人間模様を巧みに描いて、ジレンマで歯ぎしりしたくなるような気持ちになる。原作のポイントとなる部分を絞り込んでテンポよく作ってあり感情も煽られる。
小さきものがデッカいものを組み伏せ、最後にカタルシスも感じた。
それでも現実は、自分を守るためにそこで生きていく者と、正々堂々と誇りを持って自分の道を行く者とが在り続けるのだなぁと割り切れなさも残して。。。
長瀬は、町工場の2代目にぴったりハマって、ディーン・ブジオカも正義を持ちながらも限界を感じて苦悩する企業戦士を好演していたと思う。
テレビドラマでも良かったかもしれないが、殺人事件ばかりを扱った社会派映画の多い中で、こういう硬派な題材を扱った作品が逆に新鮮に感じた。

まあまあ、安定して面白かったです。
saco

saco