B5版

空飛ぶタイヤのB5版のレビュー・感想・評価

空飛ぶタイヤ(2018年製作の映画)
2.9
池井戸潤作品は筋書きの型が決まってるので、むしゃくしゃして勧善懲悪を求めたい時には安心して観れます。
現実で資本社会に蝕まれ、辟易してる人の心を掴む、ストレス発散に丁度良い作品でした。
勧善懲悪を物語に望むのは、現実の悲惨さがそれを上回るから。
せめて物語の中で救われてほしいという祈りを込めて紡がれる。
元となった三菱リコール事件を知る意味では観てよかったと思う。

でも純粋に映画としてはイマイチ。ドラマ前後篇にしたら良かったので?
原作未読ですが、特に澤田側の描写については尺の関係でかなり削ってそう。
描写が物足りなかった。
各エピソードを端折らざるを得なかったことで、それぞれ別陣営の人物が自身の賢しさを乗り越えて、ひとりの人間として行動した結果の総体として勝利したのではなく、ラッキーパンチで偶々上手く運んじゃった感が強くなっちゃったね。

あとは純粋にTVドラマの枠をでないというか…
専門的用語の多さ、展開的に避けられなかったのか、敵も味方も説明台詞満載なのと、ラストシーンと主題歌のテンションの温度差で変に面白くなっちゃった。
歌が悪いってことじゃなくね。
(つか全体のトーン監修とかしないの?)

これは重厚な社会派映画というよりは社会派の皮を被ったエンタメだったので真面目に付き合っても仕方ないんですが、果たして映画の中身と主題歌とのミスマッチが起きる原因は、貴方達が映画で詰った大企業の馴れ合いとは別物なんですかね…?
B5版

B5版