ベルサイユ製麺

コンフィデンシャル/共助のベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

コンフィデンシャル/共助(2017年製作の映画)
3.9
…ちょっと韓国映画食傷気味かなー、あんまり観たくないかもなあ…と思っても、子供達が小さな島の上でキャッキャと花火を打ち上げる、例のCJ entertainment のアイキャッチ見ちゃうと心がファイティンしちゃいますね!

『コンフィデンシャル/共助』。もう、良い噂しか聞いてないくらい。かなりの良作だと聞いていてハードルめちゃ上がってましたが、そのハードルを軽々飛び越え背中から着地!ドフッ。

☆ストーリー☆
北の偽札工場(国策)から警察幹部ギソンとその一味が原版を持って韓国へ逃亡。警備中だった刑事チョルリョンは妻を目の前で射殺され自身も瀕死の重傷を負う。
ギソンと原版を確保したい北は、韓国にチョンリョンを派遣、現地の警察とタッグを組み南北共助捜査を行う事になる。タイムリミットは3日間!

北の刑事チョルリョンにヒョンビン!多分始めて見る役者さんなんですけど、格好良いなぁこんちくしょう。物静か、美形、万能殺人機。三拍子揃いました!一方南の刑事カン・ジンテにユ・ヘジン!ヘジンと入力すると変な変換候補が出てくる事でお馴染みの彼です!顔、顔、顔の三拍子。いつ見てもスゲエ…。ジンテのキャラクターは、怠惰だけど不真面目なわけではなく、出世コースから外れたお調子者。家族想いの子煩悩、と韓国映画では判で押したように出てくる平均的な刑事さんですね。韓国の方の“刑事さんにはこうであってほしい”という願望のような気がします。
物語の基本は、私怨に燃え無鉄砲に走り回る壊し屋チョンリョンと、後手後手に回るコメディリリーフのジンテのバディアクションです。そこに南北両サイドの思惑が絡み、一筋縄ではいかない人間ドラマの様相も醸されるという、あー、コレ面白いやつ。
ストレートな見所はやっぱりアクションで、チョンリョンがもう飛び降りまくる!絶妙に無理な高さから躊躇無しのダイブ!北朝鮮には階段の概念は無いのか⁈
そして格闘術ですよ!近い近い!!速い速い!!シラットぽいかと思ったんですが、オフィシャルに依るとシステマなんだそうです。システマって映画で見る度に違う動きですね…。なんかお家騒動とかでいっぱい“自称”元祖システマみたいのが存在するのか⁇
ガンアクションもハイレベル。銃が似合うなヒョンビン!。なんでも元海兵隊だそうで…なんだ本物か。
アクションを主に引っ張るのはヒョンビンなんですが、ヘジンも出来ないなりにいいトコ見せようと頑張ります。超人の後に普通人間の必死の頑張りを見せる構成は上手いですねぇ。

勿論ウェットな人間ドラマも秀逸。亡き妻の敵討ちも、家族を守るためのせせこましい闘いも、単体で見ればありふれた事象ですが、この二つが国家間のカルチャーギャップをレイヤーにして重ね合わせられると、心地良いハーモニーに変化して心を掴まれます。
チョンリョンとジンテの、お互い目の前にいる相手の事を、信用したいのに裏切らざるを得ない構図は日常でもあり得るキツいシチュエーションです。それだけに後半の………フー!!!!!おっと、観て下さい。
一応、ネガティブな方面で気になった事も挙げておくと、ちょっとだけ長いかな?終盤の展開、ふと我に帰る瞬間が有り、「この辺りの展開って『96時間』とか、ヨーロッパコープのバカアクション作品と変わらないような…」と思っちゃったりね。勿論、そっちもそれなりに好きなので問題無しですが!

…と、好みで多少の差は有るかとは思いますが、めちゃくちゃ面白いのは間違い有りません。韓国映画、何処から入ろう?なんて悩んでる方には大推薦ですよ。
出来れば続きが観たいナイスバディなのですが、ホント韓国映画続編作んないんだよな…。国際手配された犯人を追って日本に来た2人に日本の刑事を演ずる岡田准一が合流する!とかどうですか?あー、観てェエ。変な妄想しなきゃよかった…。