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ウィンストン・チャーチル /ヒトラーから世界を救った男のバナバナのレビュー・感想・評価

3.8
本作は、1940年5月にチャーチルがイギリスの首相に就任した直後の話。
ちょうどこの頃、フランスのダンケルクでは、フランスに上陸したイギリス陸軍30万人がドイツ軍に追い詰められており、殲滅の危機を迎えていた。

チャーチルは厭線派チェンバレンが率いる保守党に属しているとはいえ、反ヒトラー派で、抗戦を強く主張しているので党内から孤立している。
チャーチルは、カレーに残っていた4千人のイギリス人将兵に、30万人を逃がす為の盾になれ!と命じる。

しかし、これに対し、同じく首相候補だったハリファックスが強く反対し、ドイツと和平交渉しろと迫るのだった。
信念通りにナチスと戦うのか、国民の戦争の犠牲者を少しでも減らす為にナチスに恭順すべきなのか、チャーチルに決断が迫られる、という展開。

ハリファックスの主張する通りにナチスと和平を結べば、英国民に被害は出ない代わりに、ベルギーの様なナチスの傀儡国家になってしまう。
しかし、この時点で既に、フランス軍もドイツ軍に敗れ、西欧諸国はドイツに完敗していたのだ。
日本だったら、1945年の8月の段階で「まだ2千万の日本人が残っている。彼らに特攻させれば日本に勝機はある」とほざいていた軍人が居たが、国中が焼け野原になってしまった軍国主義のトラウマがかなり強いので、
もしまた戦争が起こって判断を迫られれば、ハリファックスの様な主張が通ってしまう可能性は高い。

しかし、日本が降伏した後、米軍が進駐してきたけど、最初GHQが言ってきた通り醤油が禁止になったり、日本語禁止になったりはしていない。
それどころか、落ち着いた頃に、ちゃんと主権を日本に帰してもらっている。
中東では戦後に和平調印した後でも、まだイスラエルはパレスチナを占領したままだし、中国のウイグル人弾圧も凄いからテロが起こっているし、
もし東ドイツみたいに日本もロシアと分割統治されていたら、今頃どうなっていただろう(北方四島も返してくれないのに、東独みたいに戻っているか分からない)。

イギリスは歴史的に見ても、アメリカに借金だらけになって第二次世界大戦後は落ち目になってしまったが、ナチスの軍閥に下る事は拒んだ。
でも、日本もチャーチルの演説の通りに徹底的に戦ったけど、方向性が違ったもんな。徹底的に戦い過ぎたので、まだトラウマが…。
今、別れ道なのだろうな…。
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