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ウィンストン・チャーチル /ヒトラーから世界を救った男のshironのレビュー・感想・評価

5.0
去年IMAXで『ダンケルク』を観ました。
ダイナモ作戦を決行したチャーチルに対してはこれまでも、リーダーシップの塊のような印象を持っていましたが、気難しい一面、お茶目な一面、そして悩み葛藤する一面を垣間見て、人間味あふれる姿に惚れました。(*´∇`*)

しかし『ダンケルク』の裏でイタリアと話し合いの場を持とうとしていたとは驚き。(史実なのでネタバレではないですよね^^;)
映画の序盤では「戦争は嫌だよ。話し合いでなんとかしようよ。」と思っていた私が、後半のスピーチシーンでは「バッキンガム宮殿にハーケンクロイツを掲げるのには絶対NO!!」と思っている…。恐るべしチャーチルマジック (^◇^;)
でも…絶対命より大事なものは無いけど、命をかける程大事なものがあるとしたら、自分のアイデンティティなのかもしれませんね。

妻の的確な助言と励ましが素晴らしい。
家庭をかえり見ないブタちゃんと子供達が、家族として結びついていられるのは、この聡明な女性のお陰な気がします。
チャーチルを怒鳴りつけることが出来るのは、彼女だけでしょうねww

ゲイリー・オールドマンの演技と、辻さんの特殊メイク目当てで観たかったのですが、
なんと、映画10本中に一つ有るか無いかレベルの名シーンがいくつもあり、シーンジャンキーの私としては終始大興奮でした。 (*≧∀≦*)
チャーチルの事が知りたいだけなら自叙伝や研究書に当時の映像や資料もありますが、本作は映画ならではの、“映画にしか出来ない表現”に溢れていました。

(ここからもネタバレは無しですが、シーンバレ有り)

タイプライターも効果的で、演説中にキーワードが活字で現れることろは、言葉の魔術師たるゆえんを印象付ける面白い演出でした。

どのシーンも光と影のコントラストが素晴らしく、構図も完璧で、まるでレンブラントの絵画のよう。
なかでも、市井の人の姿がスローモーションで映し出さるシーンの美しさ。
日々の営みを見つめる視線に愛を感じるこの名シーンは、ラストのテーマにも繋がります。

この尺で入れ込んできた、監督の肝の座りっぷりにも大興奮 (((o(*゚▽゚*)o)))

中でもお気に入りは、それぞれの立場を超えて人と人として分かり合える無言のシーン。
これぞ映画!!
秘書の顔を見つめるチャーチル。
国王と並んだ後ろ姿にも涙が止まりませんでした。

地下鉄に乗れたのは、一度目の時とは違って路線図を通して人と人との交流があったから。
ラストの英断は、チャーチル自身の決断ではなく、庶民の代弁でした。

素晴らしい作品をありがとうございました。
1人でも多くの方に、大きなスクリーンでご堪能いただきたい。
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