映画のクオリティは高い。出来ばえは素晴らしい。だけど嫌悪感はハンパない。なぜだろう。こんな感覚は滅多にない。
何が嫌なのかといえば、愛国主義的な思想が全面に出ているところ。戦争を、戦局を会議室(内閣や国会)で描いているところなどなど。とても美しくチャーミングな秘書、レイトンは、兄をダンケルクで失っているにもかかわらず、徹底抗戦を主張するチャーチルを支えているのだが、そんな描き方が腹立たしい。
でも、腹立たしいが泣ける一面もある。チャーチルがリーダーの孤独に苛まれる姿。地下鉄で「イギリスの未来」を象徴する少女が、ヒトラーに降伏していいかと問われ「ネバー」と訴える姿。こんなシーンでは心を打たれて目頭が熱くなる。
嫌悪感は、結局のところ自分に向けられた問いが、痛いところをついているからなのだと思う。祖国を愛して戦う覚悟。支持するのかしないのか。答えは持ち合わせていない。