けーな

ウィンストン・チャーチル /ヒトラーから世界を救った男のけーなのレビュー・感想・評価

4.0
嫌われ者であったウィストン・チャーチルが、英国首相に抜擢され、ドイツ軍の侵攻から自国を守るために苦悩する27日間を描く。
ヒトラーと和平交渉をするか、徹底抗戦するか、苦渋の選択をする姿に惹きつけられた。特に、今まで一度も乗ったことのない地下鉄に1人で乗って、国民の声を直に聞きに行くところが、とても良かった。そんな行動を取ったチャーチル自身も見事であったが、国民の声を聞くように促したジョージ国王が何より素晴らしいと言えよう。と言っても、チャーチルが1人で地下鉄に乗ったシーンは、事実に基づいていることなのかは、分からない。

去年「ダンケルク」という映画を観たばかりで、記憶に新しいが、「ダンケルク」で描かれた、ダイナモ作戦を、こちらの映画では、司令部で指揮する様子が描かれており、「ダンケルク」とシンクロするので、非常に面白い。「ダンケルク」を観ていない人は、観てから、今作を観ると良いと思う。

そして、なにより、今作は、ゲイリー・オールドマンの名演技に尽きる。アカデミー主演男優賞獲得も納得だ。これまでは、「レオン」に代表されるように、狂気に満ちた役を演じることが多く、しかも、主役を演じることよりも、主役に相対する悪役や、主役を脇で支えるような役が多かったが、今回は、ゲイリーの独り舞台と言ってよいほど、ほとんど彼ばかりが映っている映画で、彼の名演技がなければ、この映画は成り立たなかったと言ってもいいだろう。議会で人々を惹きつけたチャーチルの演説は、ゲイリーの手腕によって、映画を観ている私達をも惹きつけて離さない、そう言えるのではないか。

そうは言っても、今作で、ゲイリーの脇を支えた役者さん達も素晴らしかった。チャーチルの妻を演じたクリスティン・スコット・トーマスが、とても良かった。チャーチルを支えた奥さんの人柄が良かったのだろう。愛らしい女性であることがよく伝わってきた。
それと、国王ジョージ6世を演じたベン・メンデルソーンがとても魅力的だった。これまた、国王のお人柄が伝わってくる演技だった。

メイキャップ部門でアカデミー賞を獲った辻一弘さんの特殊メイクの精巧さは、言わずもがなだった。
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