このレビューはネタバレを含みます
<ザックリ評価>
英国の梟雄の政治手腕を美化して再現。
<魅力>
・役作り
・教養
・議会演出
<不満>
・脚色
<詳しい感想>
国難に際して白熱する議会のシーンから始まる。このシーンだけでも一見の価値あり。日本の政治家も観るべき、と言いたいとこだが、ファミスタやってる小学生にリアルな甲子園の決勝戦見せても参考にならないので的はずれなお節介だろう。
チャーチルの功罪は判別が非常に難しい。多くの人を不幸にしたり捨て駒にしてきたし、優れた戦略家とも思えないが、少なくともあの時点での英国を戦争に引きずり込むメンタルと手腕を持った政治家は多くは居ないだろう。同時期にドイツに生まれてたらヒトラーになっていたんじゃないだろうか?
そんな彼だからこそ、同類のヒトラーに対抗できたし、まさにそのために政治家になったと解釈されても異論は無いだろう。そもそも平時で実績を残せるタイプとは思えないし。しかし、問題はそういった(映画でも表現が不足していた程の)彼の欠けている資質ではなくて、彼の残した実績そのものの評価であり、明らかに映画ではその負の側面をスルーしていたのが残念。それどころか美化するためのかなり胡散臭い演出すらあった。これは現実主義者であるチャーチルに対する冒涜だな!やるからには一流国家としての英国にトドメを刺した実績も公平に描かないと。それはチャーチル本人も認めている節はあるし、それでこそリスペクト映画だし、真の教養に繋がると思う。