まー

ウィンストン・チャーチル /ヒトラーから世界を救った男のまーのレビュー・感想・評価

4.5
まず先に言っておきたいのは、描き方がフェアじゃない。いや、例えば徳川家康だって作品によっては善玉にも悪役にもなるわけで、歴史物ではある程度は仕方ないのはわかりますが、本作は贔屓目に見てもフェアじゃないです。彼の決断が完全に正しかったとも思わないし、ハリファックスを悪役にしてしまうのもそれは違うでしょうと思いました。つまりこれって結果的にたまたまうまくいっただけなんですよね。お前はただヒトラーが嫌いで負けたくないだけだろっていう。笑
ちなみにこの後チャーチルは和平交渉のために親ナチ派を入閣させようとしますから。その辺をスルーして信念の男扱いしていいものかと。

ただ、それを差し引いてもこの映画、めちゃくちゃ面白かったです!すいません。

まずゲイリー・オールドマンの演技と辻一弘さんの特殊メイク。
最初はこれを激太り&特殊メイクをしてまでゲイリーがやる意味があるのかと思いましたが、劇中チャーチルが人物を見つめるだけの重要なシーンが二回あるんですよね。あの表情でわかりました。ゲイリー・オールドマンと辻一弘さんが必要だった意味が。逆にリリー・ジェームズである意味はよくわからなかったですが、可愛いから問題なし。笑

クリストファー・ノーラン「ダンケルク」では完全にスルーされていたカレーの戦いをしっかり描いていたのは素晴らしかったし、ダイナモ作戦の方は戦場を映さずとも緊張感と絶望感が伝わってくる見事な演出でした。というか、全編にわたってチャーチルの顔面と会議室だけで飽きさせないというのはなかなかすごいですよね。基本暗い部屋におっさんしか出てこないですから。笑

音楽と美術もさすがジョー・ライト監督。そこは非常にこだわる監督さんなので、本作もバッチリでした。

「ダンケルク」は嘘ばかりではありますが、セットで見るとより楽しめると思います。
まー

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