しょこ

ウィンストン・チャーチル /ヒトラーから世界を救った男のしょこのレビュー・感想・評価

4.0
序盤から引き込まれる演出。
朝イチから新しく雇った代筆の女性を怒鳴りつける偉そうな態度の太った老人。
彼こそがウィンストン・チャーチル。
周囲が彼を嫌う中、新たな首相に選ばれ彼は窮地に立たされていた。戦う道か、屈するか。

別人レベルのメイク術。垂れ下がった顎肉、細部まで拘ったであろう彫りの深い皺、後退した白髪。これがゲイリーオールドマンだと認識しているにも関わらず見間違う。

正直、急展開が待っているような作品ではないため眠気が誘い、うつらうつらしてしまった。
しかし、政界一の嫌われ者と揶揄されていた彼が、後半につれて徐々に人間臭い内面が垣間見え始めた時、眠気はどこへやら。彼へ感情移入してしまい、どこか愛おしくすら思えたのだ。
地下鉄で市民に意見を求める姿はなんとも印象的であった。彼もまた、ひとりの人間として決断に悩み、苦しんでいた姿がしっかり描かれる。

今作でも触れられているダンケルク。チャーチルが発した命だったとは驚き。偶然にもダンケルクの映画を見ていたが故に、知らず知らずのうちに、あの場にいた兵士たちの姿が脳裏に過ぎる。


“Success is not final, failure is not fatal. It is the courage to continue that counts.”

「成功は決定的ではなく、失敗は致命的ではない。大切なのは続ける勇気だ。」


心打つ、ラストのスピーチ。人を動かせるのは、情熱の籠った言葉。チャーチルの言葉には人を動かすだけの熱量が存在していた。
チャーチルがヒーローのように過剰な映され方をしない演出がまた素晴らしい。
ゲイリーオールドマンの演技にもまた、脱帽。
いい映画だった。