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ハロルドとリリアン ハリウッド・ラブストーリーのrimiのレビュー・感想・評価

5.0
なんて素敵な夫婦なのだろう。
心が温まった。
数々の映画の名シーンの構図は、ハロルドのアイデアだったのかと驚かされる。
それまで知らなかった、絵コンテを描くスケッチアーティストの階級社会での冷遇。
まるでゴーストライターのように、構図が使われたとしてもクレジットすらされず、監督の手柄になったり、絵コンテの存在を隠すために連絡を絶つ監督もいたとか。
だけどハリウッドでのひどい仕打ちを受けても、共に闘う同志としてハロルドとリリアンは支えあっていた。

リリアンのリサーチャーという仕事も映画を作る上で無くてはならない存在で、
「観客にウソを信じさせることを商売とする映画は、つくられた物語だけど、リサーチよって事実を追求し、事実に近い情報をできるだけ多く与えることで物語にリアリティを持たせる」と語るリリアンもかっこよかったーーー。
だって引退した麻薬王からも情報を入手しようとするなんて。
事実を追求しようとする執着がすごい。。
ほんとに、こんなに小柄でチャーミングなのに、芯の通った強い女性で、そりゃハロルドが夢中になるのも頷ける。
緻密なリサーチをしてくれる人がいるから、私たちはつくられた物語を身近に感じることができるのだと思った。
監督にとっても撮りたい時代の情報を与えてくれる心強い存在だというのに、リサーチャーという職種もまた、クレジットされてこなかった。
ふたりの映画への貢献度は多大なものであるのに。
だけどそういった苦悩をふたりで共有して支えあっていたからこそ、この夫婦の絆はとても固いものになったのだろう。
「夫婦として成長するには経験を分かち合う必要がある」は響きました。
ハロルドからリリアンへの記念日の手作りのカードも素敵すぎる!
家族の危機がジョークに。
ベイビーフェイスの殺人者には笑った。
末っ子のデニスがそれを集めて作った本、読みたいーー!
所々挟まれるふたりの回想の絵も可愛くて素敵だった。
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