あでゆ

移動都市/モータル・エンジンのあでゆのレビュー・感想・評価

3.0
60分戦争と呼ばれる戦いから1,700年が経過した地球。人々は荒廃した大地をはうようにして進む巨大移動都市に暮らし、ほかの移動都市を取り込み資源を奪いながら生活していた。そんな中、少女ヘスターは、ある目的を果たすために移動都市のロンドンへと潜入し、トムという青年と出会う。

最初の10分すげえ良いじゃんと思った都市vs都市、食うか食われるかの戦いはそれ以降息を潜め、スチームパンク的な世界観で繰り広げられる地道な政治陰謀みたいな話を1時間くらい見せられ、最後にちょろっと戦争(都市は動かない)を繰り広げるパッケージ詐欺のお手本のような映画。
世界観はかなりよかっただけに、序盤での予算の息切れにかなりもったいなく思う。

都市の映像なんて本当に最初だけで、そのあとは狭い路地みたいなとことか、セット感バリバリの森とかで撮影しだしてかなり不安になる。
挙句、移動都市が近づいてきたから隠れろということになり、夜の曇り空に反射するライトの明暗で移動都市を表現する始末。
一体いつの映画なんだ、という気持ちにさせてくれる。

物語の展開もかなり行き当たりばったりで、本筋と全く関係ない、出来の悪いターミネーターお父さんが襲いにくるシークエンスとか、本当なんなんだろうという。
敵の使者かと思った謎の男が、実は個人的な恨みを持った死人だったという展開は、まんまMGSVのヴォルギンだと思った。
尺の短い映画でやることではない気がするが。

ただラストシーンの戦闘はまあまあ良くできていて、サイバー中国がぶっ壊されていく展開とかも胸が苦しくなる。
こういうシーンとか定期的に盛り込んでくれて、もっと政治色薄めの単純な映画にしてくれたほうが、ジャンル映画としては正しいんじゃないかと思う。

序盤から「60分戦争」とかいう怪しげな単語が飛び交ったり、神の像として風化したミニオンの像崇めてるのとか、移動都市「ロンドン」の上にくっついてるアレとか、ギャグセンスもかなり好みなのに、エッセンス程度でそれを上手く落とし込みきれていないのも残念。
空の街とかもデザインは本当によかったのになぁ。
あでゆ

あでゆ