2MO

移動都市/モータル・エンジンの2MOのレビュー・感想・評価

2.9
ピーター・ジャクソン製作、その愛弟子が監督を務めるSFファンタジーとあれば、世界基準のVFXばかりに目は奪われがちになるところ。原作小説がイギリス人作家の手によるものと知って、やっと、パッチワークなレトロフューチャーに一定の世界観は見て取れる。

かつて植民地政策や産業革命によって世界の覇権を握った“帝国”の首都の名。1000年後の未来世界においても、小都市を次々と攻め落とし、勢力を広げる巨大移動都市に“ロンドン”の名は与えられる。その要塞がスチームパンクに類する造形にあることにも合点はいく。

そうした人類史的なサブテキストを挿し込めば、冒険活劇的なクリシェが抑揚なく連なるだけの、予定調和なジュブナイルSFにしても、いくらか語り甲斐はあるというもの。

少なくとも、侵略戦争のメタファーとしての、都市が都市を文字通り“呑み込む”オープニングシークエンスだけは間違いなく特筆に値する。
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