マクガフィン

旅猫リポートのマクガフィンのレビュー・感想・評価

旅猫リポート(2018年製作の映画)
2.7
愛猫ナナの引き取り先を探す、人間(福士蒼汰)と猫のロードムービー。猫のかわいさの対比として、エモを振りかざす組み合わせは、お決まりに。原作未読。

猫が説明や突っ込みを挟んでいくので、分かりやすい構成に。
猫とのロードムービーは、親友との最後の別れのひと時になるのだが、死生観がまるでないのも如何なものか。主人公が死生観を見せないようにすることとは別の問題で、笑顔と裏腹な隠れた悲哀を描写が不足している。それ以前に、謎解きの含みが感じられない中途半端さに。

猫に深くて大きな愛情を注ぐことは、幼少期のトラウマによる反動かと思いきや、育ての両親からたっぷりと愛情を注がれている。最初から猫に対する異常な愛情は疑問で、捨て猫を自分と見立てて、本能的なことに集約することは、その時点では辻褄が合わないし、説得力が無いのが残念に。

切り口は興味深く、猫の演出に感心することもあるが、猫と福士の仲睦まじさがイマイチ伝わってこないような。不幸のてんこ盛りは原作からだと思うが、映画だとキャパオーバーで詰め込み過ぎにも。

プロットや親友の人物像も表面をなぞるぐらいに。登場人物・猫・犬の全てが、物分かりが良過ぎる異質な違和感や、猫や犬のアテレコは、どうしても気になり続ける。
終盤の猫の旅立ち→「僕はサトルの猫・・・」→ラストの日当たりのよい出窓の縁側でのくつろぎ、一連の猫の言動のシークエンスに唖然とする。