あでゆ

孤狼の血のあでゆのレビュー・感想・評価

孤狼の血(2018年製作の映画)
4.4
◆Story
昭和63年、広島の呉原では暴力団組織が街を牛耳り、新勢力である広島の巨大組織五十子会系「加古村組」と地元の「尾谷組」がにらみ合っていた。ある日、加古村組の関連企業の社員が行方不明になる。ベテラン刑事の刑事二課主任・大上章吾巡査部長は、そこに殺人事件の匂いをかぎ取り、新米の日岡秀一巡査と共に捜査に乗り出す。

◆Review
このご時世に置いて女・クスリ・暴力やりたい放題のヤクザ映画。
冒頭で始まる豚小屋での過剰な超暴力表現は、この映画はこの方向に全振りしますという宣言を突きつけているようだ。
ここまで好き放題やられると、一歩間違えると我々の住む”現実”と大きく乖離してしまい、ある種のリアリズムを失ってしまいそうなところだが、役所広司はじめとする大御所俳優たちの圧倒的な演技力が物語に説得力をもたらす支えとなっている。
一方で松坂桃李のやや淡白な演技は、その世界に足を踏み入れようとする素人として上出来であり、本作の配役が非常に繊細なバランスのもとに成り立っていることを感じさせる。

物語の筋自体は基本的に読みやすく、王道で裏切らないものではあるため、一見退屈してしまいそうだが、松坂桃李演じる日岡の行動はやや読みにくいものになっているため、この信頼できない語り手の存在によって物語の推進力が保たれていることも評価できる。
それがなくとも、役所広司演じる大上刑事の法律ガン無視のぶっ飛びまくった捜査方法には、特に前半にかけてややコミカルな味わいも感じることができ、次は何をしでかすんだろうという期待とともに物語を見ていられるのも素晴らしい。
オチも『半沢直樹』のようにスカっとするような内容に仕上がっていて、エンタメとして十二分に楽しめる内容になっていたと思う。
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