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孤狼の血のIlのレビュー・感想・評価

孤狼の血(2018年製作の映画)
4.4
映画冒頭から繰り出される豚の糞に指チョンパ。この時点で見る側はこの映画はなんでもありのめちゃくちゃな映画であると悟るでしょう。

仁義なき戦いを始めとした任侠映画にあまり縁は無かっただが、監督が凶悪を始め今年も既にサニー32を既に公開し、今一番ギラギラしてるであろう日本監督、白石和彌であったことなどから見に行ったが、その圧倒的世界観やキャラクターに圧倒されてしまった。

キャラクターを彩る面でやはり今作のキャストに触れていただきたい。まず、役所広司と松坂桃李。
方や全編通してめちゃくちゃやりながら一貫した意思の元行動していた荒くれ刑事、方や作中ずっと疑問を投げかけながら最後にその意思と己の道を見出す若者。この2人のバランスがずっとしっかりしていたのが印象に残る。とりわけ松坂桃李はキャリアベストと言っても良い演技。対する役所広司も色々な面を伏せ持つ存在感で映画を支配した。
脇役もアウトレイジ同様憎たらしい役をこなす石橋蓮司。白石作品じゃ常連のもはや本業が何なのかわからなくなってきたピエール瀧。あと敵対する組同士の若頭である江口洋介と竹野内豊のギラギラさはやっぱり良い。竹野内豊はヤクザやるには少々声や佇まいが良すぎるとも思ったか普段演じてるような役柄からは想像も出来ない外道を演じて見せた。

全編こちらまで蒸し暑くなるような怒涛の演出、世界観、ビジュアルに、途中本当にこれR18にしなくて良かったのかと思いたくなるような視覚的エグさを含めた映像表現の限界突破に果敢に挑むスタイル。
東映には今作だけで終わらずにまた2、3年の周期ぐらいで白石監督とこの手の任侠映画をどんどん供給していってほしいものです。
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