菩薩

孤狼の血の菩薩のレビュー・感想・評価

孤狼の血(2018年製作の映画)
4.4
機動戦士ガンダムの中にアムロが黒い三連星のガイアが駆るドムを足蹴りするシーンがある。その際コクピットの中でガイアは「俺を踏み台にしたー!?」と叫ぶわけだが、俺は今すぐ北野武にそのシーンを演じて貰いたい。アウトレイジが最終章において完全にカラカラに乾ききった「全員老人」の物語と化しあまりにも悲惨な終焉を迎えた(意見には個人差があります。 出典:生さだ)のとは対照的に、今作に相応しい表現はまさに「ギラギラ」ないし「テカテカ」か。『アウトレイジ』を踏み台にし『県警対組織暴力』と『シャブ極道』すら飲み込んだ白石和彌の脂は今乗りに乗り切っており、火を付けたらメラゾーマの如き火焔として燃え盛る事だろう。切断した指は豚に食わせろ!だとか、自販機で買うのはビールじゃなくてコンドームだろ!なんて些細な文句はこの際どうでも良い、結局出だしの暴力シーンからのナレーション、そしてMEGUMIのお乳の正しい使い方までの掴みの時点で完全に持っていかれてしまったし、最後までごきげんようのサイコロの様に何が出るかな🎶何が出るかな🎶とバイオレンスを欲してしまっている自分がいた。郷に入り切らず郷に従わせ、毒を食らわば皿だけで止まらずテーブルまで食わせ、どうせホコリもダニも出まくるのだから叩けるだけ叩いてみぃ!と己の「正義」を邁進する狼の元に放たれた犬が、その身につけた空手道をも捨て去り歯剥き出しの狂犬と化し、狐の化かし合いの如き外道の世界へと足を踏み入れていく。あの綺麗な顔立ちの松坂桃李の顔が徐々に歪んで行く様にはもはや快感すら覚えたし、『ボーダーライン』のデル・トロ並に高い役所広司演じるガミさんのバランサー能力には皆同様ただ平伏すしか無かった。『ベロニカは死ぬことにした』では暗すぎて思う存分拝めなかった真木よう子の秘められた立山連峰の如き膨らみが白日の下に晒されていれば文句無く5点!!!といきたいところであったが、白石和彌に対する苦手意識はこれにて完全払拭、そして最後にこの作品にこの言葉を贈りレビューを閉じたいと思う。

「男は黙ってハイライト。」

by さくらヒロシ
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