Mikiyoshi1986

孤狼の血のMikiyoshi1986のレビュー・感想・評価

孤狼の血(2018年製作の映画)
4.0
東映やくざ映画の再興!
佐藤純彌監督の次に東映にて「彌」を継ぐ男は、白石和彌監督で決まりだ!!

広島を舞台にした警察とやくざの癒着モノは、かつて深作欣二監督が『県警対組織暴力』並びに『やくざの墓場くちなしの花』で描いていました。
が、ここではそれらのオマージュを盛り込みながらも広島の架空都市・呉原市でベテラン破天荒刑事と新人のバディものを展開!

やくざよりもやくざな刑事・役所広司と、県警からやって来た広島大学卒の新米・松坂桃李が広島抗争の火種消しに介入していきます。

来年はとうとう平成の時代に幕が降ろされますが、
本作の昭和最後の年・63年という時代設定には、一時代の終焉へ向けた惜別の情を感じざるを得ません。
したがって平成のうちに本作を公開できたのは大変意義のあることのようにも思えたり。

役者の中では、朝ドラ『半分、青い。』にも出演中の中村倫也君が狂犬的演技で異様な存在感を放っていました。
あとピエール瀧は右翼団体員の瀧井を演じ、可愛いオラフから反社会組織までをこなす芸の広さを実感!

そして下の名前が"モリタカ"な江口洋介は、最高にカッコいい若頭を好演。
劇中では『県警対組織暴力』で松方弘樹が吐いた名台詞「極道は顔で飯食うとるんでぇ!顔でぇ!」の再現も披露してくれてます!
それと終盤は江口による『凶気の桜』のセルフオマージュがかなり盛り込まれていたように感じました。

(竹野内豊は完全に大友勝利のオマージュ要員で終了…)

本編で一番感心したのは水死体!
普通ドラマや映画の水死体って大概顔が青ざめてるだけだったりするんですが、
ここではしっかりとぶくぶくに膨れ上がったリアルな様を再現。
最初、あの力士やくざかと思っちゃいました。

一方で唯一しらけてしまったのが、一番泣かせるであろう書き込みを発見するシーン。
ガミさんの文面すらも広島弁だったのが超絶ウソ臭くて、せっかくの良いシーンでげんなり。

サントラは東映音楽を支えた津島利章へのリスペクト満載で感動した!現代に甦った、あのギターの音色…!

とにかくめちゃんこ楽しめた!
次回作も制作されるなら、もう少し生々しいエロ要素にも力を入れていただきたいです。
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