マサキシンペイ

孤狼の血のマサキシンペイのレビュー・感想・評価

孤狼の血(2018年製作の映画)
3.8
警察じゃけぇ、何をしてもええんじゃ……
悪辣な自由を謳う外連が香しい。

昭和63年、広島、呉原東署。
ヤクザを締めるためには手段を選ばない悪徳刑事の大上(役所広司)と組むは、県警本部から新しく赴任した若手刑事日岡(松坂桃李)。

大まかに、裏社会の権力抗争を食い止めようと自身もアウトローへの泥沼を突き進む大上という男の仕事論、当初は反発しつつもその背中を追う日岡の成長譚の二部構成になっている。

松坂桃李という役者自身の成長も感じさせる作品となったが、前半の役所広司の気迫の熱演に比較すると、多少の尻窄み感は否めなかった。
周囲の人間の口承で語られる、大上という男の印象を裏切るような人情話と敏腕ぶりに、若干の臭みが伴ったことも影響しているだろう。
それだけ、役所広司が演じる大上というキャラクターの言動の魅力が強かったということである。


散りばめられた昭和的脚色にも胸躍る。

女が裸で悦ばせ、男が血を流して死ぬ。

肉欲。形あるものへの興奮。

エログロが、単に表層の快楽として多用される。
近年の大作映画では忌避される軽薄さで、そこに物語の意思を示す透明性はなく、ザラついた印象を残す。

しかしザラつきは、ギラつく。

テーマを照らすために光を透過する表現なのではなく、光を乱反射して表現そのものが煌めいているのだ。

そしてそれこそが、昭和という時代に日本が凍結させてきたエネルギー源に他ならない。