つかれぐま

孤狼の血のつかれぐまのレビュー・感想・評価

孤狼の血(2018年製作の映画)
4.0
18.6.21 大泉#7

平成最後に昭和の終焉

「警察じゃけえ何をしてもええんじゃ」という大上の言葉は、「映画じゃけえ何をしてもええんじゃ」という白石監督の想いにそのまま置き換えられる。前者はカタギを守るため、後者は観客が見たいものを作るためと言えるほど、近年の自主規制圧力に一石を投じる作品。これを(失うもののない)インディーズではなく、そこそこ名のある監督が東映のバジェットでやってしまったという所に意味があると思う。

(年齢がばれてしまうが)私は本作の設定の翌年に社会人となった。日高と同様に、すぐに修行の目的で現場部署(警察機構で言えば所轄)に配属。そこでの汚れ仕事(もちろん本作には遠く及ばないが)を思い出し、感情移入できた。あの時の「自分の立場では何を言おうが現場には通じない」感じ!に時代感含めてとても共感できた。

養豚場の場面はいずれも凄惨極まりない。余談になるが「あしたのジョー」の少年院時代の一場面を思い出した(当時の子供にはトラウマ級)。本作もそこからインスパイヤされたのではないだろうか。

実は「ワンダー」を見るつもりだったのだが、どうにも気が進まずに当日窓口で変更。いい判断だった。平成最後の年に、昭和の終焉をレビューできたことも意義のある作品だった。