「警察じゃけぇ、何をしてもええんじゃ」
邦画の底力を見た気がする。
さすが白石和彌監督。期待を裏切らない。
以前見た同監督の「日本で一番悪い奴ら」に通ずるバイオレンスさと面白さがありましたが、いわゆる王道のヤクザ映画、警察映画を踏襲しつつも、まさかのダークヒーロー継承映画とは！
まるで、あのデンゼル・ワシントン、イーサン・ホークのコンビによる「トレーニングデイ」の日本版ようでした。すごく面白かった！こういう映画もっと作って！
主演の役所広司は言わずもがな、存在感が際立っていましたが、個人的には松坂桃李の演技がすごく良かったですね。
正義感溢れる真っ当な刑事であった日岡が、徐々にギラギラとした狂気を帯びていく感じがたまらない。
僕の中では未だにシンケンレッドだった彼ですが、だいぶイメージが変わったというか、今作を経て飽和状態気味の若手俳優枠から、ひとつ頭抜け出したんではないか？ それぐらい素晴らしかった！
他の出演者も演技派揃いでしたね。
中でも江口洋介、竹野内豊、中村倫也、遠藤憲一は普段の印象とは違う役柄で新鮮味がありました。
江口洋介が演じたヤクザ幹部の名前が守孝(もりたか)なのは笑いましたね。このキャスティングはもしかしてわざと？
昭和末期のカオスな雰囲気も良かった。
冷房の効かない蒸し暑い警察署や、皆やたらタバコをスパスパと吸っているところなんかは時代を感じさせます。
結構細かく見ていたけど、現代を意識させるような物は目につく限りは写ってなかったと思うし、ロケ地や小道具など昭和の雰囲気を忠実に表現していたと思いました。
原作はシリーズものということで、続編も企画されているとのこと。
ヤクザ映画は日本ならではのジャンルムービーですからね、この機会にもっと盛り上がってほしい！
