“警察じゃけぇ、何をしてもええんじゃ。”
ここ数年の邦画屈指の名台詞では。
マル暴の日岡は上司でありヤクザとの癒着が噂されている大上の手段を選ばない悪徳刑事ぶりに戸惑うが、彼の失踪事件によりヤクザの抗争が激化するというストーリー。
各ヤクザと県警の感情という感情がぶつかり合うと同時に”県警対組織暴力”が幕を開ける。最近の邦画は暴力映画が来てますな。「アウトレイジ」に対する解答は深作欣二映画的アプローチだ！という東映ならではの意気込みを感じられる、良い意味で今らしいヤクザ映画の傑作。
ただの懐古趣味で終わる映画と思いきや現代人が観ても楽しめる作りで、今にもしっかり通じる映画でありました。そこが最近の映画らしく素晴らしくて素晴らしくて！でもグロ描写の容赦無さが足りないかな.....正直その点アウトレイジへのアンサーとして弱い。不満はまだ一つ。
深作映画やら北野映画に慣れた状態で観てしまうと、終盤の派手な展開にやや違和感を感じなくもない気が...何というか上述の監督作に比べるとやや作り物感がね。いや、映画だからそりゃそうだろうけど取って付けた様な展開に見えてしまう。起状が然程無いくらいなのがヤクザ映画という認識なんで、そこにちょいとあれれとなりましたね。
「仁義なき戦い」シリーズの荒々しさは作り物の荒々しさではなく、野生的かつ自然さのあるものだったんですよね。ところが、今作は仁義なきシリーズを意識しているのにそれがなくて...昭和のギラついた感を今の俳優には出せないという事の表れなんだろうな。仕方ないとは言え、昭和邦画好きとしてそこが非常に残念。
松坂桃李と役所広司のコンビがまたまた良い良い。単なるイケメン枠で終わらずな松坂桃李の演技がもう最高ですな。役所広司はヤクザやったりマル暴のデカやったりで凄い。凄過ぎます。菅原文太のイメージと重なるのは江口洋介でしたが、フィルモグラフィー的には役所広司がそれに近いですね。
正直これ観るんなら「県警対組織暴力」観た方がいいかなと思いはしましたが、焼き直しでもないし新しい映画として成り立っているのでどちらを取っても損はしません。てことで今作をきっかけに沢山の人々が往年の東映ヤクザ映画に触れる機会が増えるとええなぁ。
取り敢えず続編はよ
