磔刑

孤狼の血の磔刑のレビュー・感想・評価

孤狼の血(2018年製作の映画)
1.0
おススメ度☆

なんか全部嘘くさくて嫌い。演出や演技の全てが仰々しく、大雑把で、大袈裟で、五月蝿くて、真実味のカケラもなかった。コメディとして割り切れば良かったんだろうけど、どうしてもできなかった。
<以下ネタバレあり>


結構最初の方で作品から心離れたね。豚のウンコ食わされるシーンで。やろうとしてる事自体が問題じゃなくて、演出と演技がね。

まず、無理矢理ウンコ食わされてて、次のシーンで命乞いするんだけど、口にウンコ全然付いてないの。全くって訳じゃないけど、少なくとも歯には全く付いてなくて、真っ白の歯が見えてんの。いやいや、ウンコは!?えっ?歯磨いたの?というか、吐こうよ?普通ウンコ無理矢理口に詰められたたら、誰だって吐くよ。間違いなく嘔吐するよ。仮に自然に吐かなくても、無理矢理でも口から出そうとするよ。そのシーンが無いの変でしょ。遺棄された死体を見た刑事が吐くのに、豚のウンコ食わされた一般人が吐かないってどういうことなの?ウンコを食うことが普通な世界線なの?

それと、その後の枝切り鋏で小指切断されるシーンもね。なんか、あんまり痛そうじゃない…。いや、痛そうなんだけどね。現実世界で見た覚えのある痛みの表現(演技)だなと。小指を無理矢理切断されるんよ?想像を絶する痛みやん?でも、演技が想像の範疇内で、残虐な行為に対して、演技力が追いついてないというか…。エモーションが伝わる表現ができてないように思えた。

それに、「うあああああ!!!」って大きな口開けて、絶叫するのもどうかと思う。この場合って、痛みを“耐える”、“堪える”悶絶になると思うねん。指を切られる現実は避けられないし、当人もそれを理解してる。なら、その痛みを伴う行為が終わるまで我慢しようとするはずやねん。と、なると口は“開ける”んじゃなくて、“歯を食いしばる”と思うねん。避けようと抵抗するなら口を開けててもいいけど、あの場面は堪えてるんやから、歯を食いしばるべきだと思う。

自分も指を切断されたことないから、その辺の表現の正誤はハッキリはしない。でも、昔子供の頃、車に轢かれて、脚を複雑骨折した経験があって。その時の手術方法が、医者がレントゲン(?)的な物を見ながら脚をグイグイ押したり、捻ったりするという治療法だった。しかも!!麻酔なし!!これがめちゃくちゃ痛い!!!手術室で絶叫、悶絶したのを鮮明に覚えている。そのときの自分の記憶が正しければ、口を開けるよりも歯を食いしばって表現する方が多かったように思える。これもやっぱり、不可避な手術の時間を“耐えようと”した結果だと思う。

今思い返せば、人生であんなに痛い思いをした経験はない(車に轢かれたときの痛みより激しく、長かった)。しかも、一回だけじゃなくて、手術は何日にも行われたし。そもそも、あんな原始的な方法以外になかったのかと。
話を映画に戻すと、その自分最大の痛みの経験以下の演技だったなと。なんか腹痛レベルにしか見えなかった。
あと、切られた後に尋問されんだけど、結構普通に受け答えしてるっていうね。いや、指切られたら放心状態なるわ。意識失うわ。少なくとも、手術後の自分は毎回、抜け殻みたいになってたわ。

まぁ、このシーンに限らず至る所のシーンが大袈裟ではあるんだけど、迫真には全く届いてないなと。というか、大袈裟、大雑把と迫真を勘違いしとるなと。
ちなみに、私が好きな任侠映画は『座頭市物語』と『仁義なき戦い』です。
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