寺嶋文

29歳問題の寺嶋文のレビュー・感想・評価

29歳問題(2017年製作の映画)
5.0
鑑賞日:2018/06/27

レスリーチャン案件の作品である。
昨年の大阪アジアン映画祭で何も知らないで観て号泣してしまった作品。
この映画祭では観客賞を受賞した作品が、今年一般公開となったのでもう一度冷静に観ることにした。
(けど又泣いたけど)

レスリーチャンが好きで、香港映画が好きで、何度も旅行で香港を訪れ、広東語を習ったりして、大袈裟だけど自分の中に香港に触れていた時期があるので、「ラードかけご飯食べよう」「エッグタルト食べよう」なんて台詞に、うんうん美味しいよねと思ったり、レオン・ライのものものまねで、ぷっと吹きだしてしまったりする。

「日没のパリ」はテレビドラマらしいので未見だけど憧れてパリに行くのは、自分が憧れて香港にいくのと同じ気持ちだろうと共感できる。
(けど、そこまでいうなら観たいぞ、「日没のパリ」)

そうなるとこの作品、香港好きな人にしか楽しめないのかと考え直してみると、決してそうではない。

元々は香港の舞台作品を映画化したもの。
それが人気が出て日本の映画祭で観客賞を受賞して一般公開までになるのは理由がある。

学校を卒業して仕事して、人によっては結婚して、大人としてのこれがずっと続いていくんだろうと思うとき、29歳という年齢位で、一度は気持ちが揺れる時期があるんじゃないだろうか。

それは香港でも日本でも同じで、そこの描写が絶妙なのだ。
自分が今、充実した生活だと思っている仕事・友人・恋人、それって本当は依存じゃないの?
グッと掴まれるものが、そこにある。

レスリーファンにはレスリー案件だけど、そうでない人にとってはちょっとしたおまけだ。
ネタバレは書かないけれど、是非、人に観てもらいたい作品。
(そこからレスリーファンが増えるといいな。蛇足。)
寺嶋文

寺嶋文