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29歳問題のaoiのレビュー・感想・評価

29歳問題(2017年製作の映画)
3.9
私はもうすぐ29歳になる。喝を入れるために観に行ったけど、涙腺ガタガタ笑

30歳の境界線をテーマに、女の生き方を考える。
トレーラーの時点ですでにかき消えてしまいたくなったけど笑、本編はさらにボディブローのように小出しに攻めてくる。
もう30だろ?仕事ばっかりやってる女の末路は…と保険会社の資料を渡される前半の1シーンだけでもう瀕死 笑

ガールズトークの空気は身に覚えがありすぎて窒息寸前。
子育てに忙しい子がいて、30歳を手前に合格ライン(笑)の彼氏と婚約した子がいて。いわゆる「女の幸せ」を手にした同世代の友達と並ぶと、仕事で忙しくしていても大成功とまではいかない自分。現在地が見えなくなる気持ちは痛いほどよくわかる。

人と比べたところで自分なりの生き方をするしかないけれど、ただ、自分の気の持ちようとは違い、世間が30歳を節目として認識してるのは事実だから受け止めなければならない。
結婚がきっかけで彼氏とのすれ違いが埋まるとは思えないが、29-30歳で恋人を手放すのは実際は怖いだろうな。
最高の人と出会う年齢も、結婚したいと感じるタイミングも人それぞれ違うのにね。

「今の若い人は修理しようとせず、すぐに捨てて新しいものを買う」
仕事や恋愛でも、すぐに鞍替えするのではなく、修復できるか一度立ち止まって向き合うべきなのよね。断捨離好きで見切りの早い私には耳が痛いセリフだけど笑
修復にかける時間も全部がムダにはならないはず。

ヨックワンの抑圧された日常も共感しすぎて、観るのが辛かった。仕事と美容・健康の両立はほんときつい。
面倒くさくてもスキンケアは欠かせないし、食べ過ぎないように我慢したり、美容ドリンクやサプリメントで日々ドーピングの積み重ね。
それでも目のクマは絶えないし、ご飯は深夜になるし、肌も荒れる。
男は何もしなくても男でいられるけど、女は女でいる努力をやめると女でなくなってしまう。なれの果てはおっさんと見なされるので笑

でも、その生き方が幸せかと聞かれるととてもしんどいのが現実。誰だって夜にラーメン食べたいし、スキンケアする時間があるなら10分でも長く寝たい!
20歳の頃とは違い、怠けるとすぐおっさん化してしまうので、仕事に恋に順調そうに見えても毎日がギリギリで危ういところにいる。

一方で、ティンロは見た目は冴えなくとも、好きなものに囲まれ、社会の29歳問題には縛られず、笑顔でのびのびと等身大に生きている。どっちの生き方が精神的に豊かかは一目瞭然。
現実的には彼女のようには生きられないけど、年齢や社会に縛られず、ありのままの生き方に触れるだけで少しは気持ちが楽になる。
仕事、家庭、なにかひとつしか持たないから、それしかなくなってしまうもんね。
「成功は結果でしかない」という女社長の言葉が印象的で、大切なのは選択。流されるのではなく、自分で選んで決めること。
そのためにも選択肢は多い方がいい。
選んで決めたことなら、失敗も後悔しないはず。

30歳が賞味期限であり結婚が女のゴールというのは固定観念でしかなく、「〆切」と捉えるか「キリのいい数字」と捉えるかで世界の見え方は変わってくる。
年齢はステップのうちのひとつであり、リミットでも特別な分岐点でもない。分岐点は人それぞれ。
ちょうど旬な時期にこの作品に出会えて本当によかった。
キャリアは焦るくらいがちょうどいいけど、プライベートの方くらい笑顔でプラスに30歳を迎える準備をしていけたらいいなぁ。

客席には、一人のおじさんやおばあちゃんが観に来ていたりと意外だった。
アラサー女性以外がこの作品を観て、いいと感じるかは怪しいところだけどな笑

# 176/2018