ベルサイユ製麺

29歳問題のベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

29歳問題(2017年製作の映画)
3.2
叙情的で洗練風のジャケと、何処となくホン・サンスっぽいタイトル(元ネタは別ですが)に惹かれてレンタルしました。香港映画には珍しいテイストでは?


ラム・ヨックワン、29歳。
仕事にも恵まれ経済的な不安は無い。安定(し過ぎた)状態でお付き合いしている彼氏もいる。このまま前進あるのみ!!…の筈が、30を目前に、なんなの⁉︎この不安感は!!!!


…戦慄。こんなにも自分に関係無い物語が有るとは!この設定中、共感出来るのは“不安”の部分だけですよ!まだクトゥルフ神話の方が身近な気がする!
ヨックワンは序盤は楽しくハイテンションの女子会などをしております!(旧知の親友の一人、トマトちゃんはジェーン・スーさんに激似!)
…順風満帆と思われたヨックワンの生活は、しかし何故だか急に綻びを見せ始めます。
😝昇進はしたものの忙しくなるばかりだし、同僚とも感覚のズレが出始める。
😓彼氏は二人の先行きに無頓着。
😨父さんの痴呆は益々酷く。
😱更には突然借りてたマンションを売却され(←香港では普通にあるのか⁇)新居を探す事に…。

…で、彼女が止む無く暫定的に身を置く事になった物件で、彼女は或る出会いを通して“有り得たかもしれない人生”について思い巡らすようになっていく…というのが後半の流れであります。


……まあ、先にも書いた通り、いくらなんでも自分にはストーリーが縁遠過ぎて、やっぱり映画への埋没度はあまり高くなかったです…。良いとか悪いとかは全然別の話ですよ?
前半、アジア映画ではあまり見かけない、女性たちがパーっと派手に盛り上がるSATCタイプ(←観たこと無いけど…)の作品かと思いきや、後半徐々に内省的な話になって行きます。細かくは書きませんが、もう一人の主人公とでもいうべき人物が現れ、そのことがヨックワンが自身を見つめ直す契機になる訳です。
…正直言って構成には結構難が有るなと思ってしまったのですが、どうやらこの作品、現地で大人気(らしい)舞台の映画化なんですね。どーりで第四の壁をガンガン壊してくる訳です。舞台で観れば、この構成がジャストフィットなのかもしれません。

映画自体の作りは、一般的な香港映画よりは寧ろ台湾映画に近いテイストに感じました。(自分が不勉強で知らないだけなのでしょうが)中国・香港の映画って、大味なエンターテインメント作品と全く大衆向けでは無いアートシネマに完全に二分されているような印象で、この作品みたいな両者の中間を行くような作品がもっと増えると良いのに…なんて思いましたね。

…なんとも淡白な感想は、重ねてになりますが余りにも自分と縁遠い話である事…と、もう一つは(小声で)主人公のルックスがあんまり得意で無いことに由来してます。せめて主人公が55歳くらいで体重100キロ越え、お髭の可愛いおじさんだったら…
…ラム・シューの話をしています!つーか、“自分らしく”香港ノワールが観たい!!よし、次こそはホントに観たい映画を鑑賞するぞ!!!