Solaris8

ルージュの手紙のSolaris8のレビュー・感想・評価

ルージュの手紙(2017年製作の映画)
4.3
12/10 シネスイッチ銀座で「ルージュの手紙」を観てきた。

6/22 有楽町のフランス映画祭で、オープニングを飾った作品で、英題は「助産婦」という映画になるが、映画の冒頭で、助産婦に捧げるという字幕を見る。

映画を製作したプロヴォ監督が生まれた時に、助産婦に命を救って貰った事を監督の母から聴いて感謝しているそうなのだが、身を尽くして他人のために働く女性のために、この映画を捧げようと思ったと云う。映画の主人公の職業が文字通り、助産師で、その言葉には賢い女性という意味が有り、根底には、自分の職業に愛着や誇りを持ち真摯に働く人を応援する人生賛歌がある。

物語はパリで血の繋がらない継母と娘が30年ぶりに再開する。真面目で地味な助産師の娘は、突然、ふらりと現れた自由奔放で派手好きな母と対峙し戸惑うが病気の継母を責任感から受け入れる。

主人公の助産師の女性は子供も独立し、49歳の独り身なのだが、将来的な心細さで、誰かと寄り添い合いたくなる年齢で、一人で暮らす寂しさが、人を許す気持ちに繋がっていく。

人は自分が持っていないものを持っている人に惹かれ魅力を感じるもので、途中、娘が継母の口紅を借りてお洒落するシーンがある。徐々に継母の奔放だが嘘の無い性格を許す事になるが、二人の女優の息の合った演技も素晴らしかった。

エンディングの菜園の傍に在る緑の若葉がそよぎ、陸に繋がれていたボートが外れ、傍には恋人が居て、主人公が手紙の封筒を開けようとするシーンがとても意味あるもので、美しかった。
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