シネマJACKすぎうら

ジャコメッティ 最後の肖像のシネマJACKすぎうらのレビュー・感想・評価

4.3
色々な味の変化や華々しさを楽しめるフルコースみたいな映画もいいが、本作は一杯のラーメンのように単一の味わいを楽しめるシンプルな映画。
主人公の高名な画家、ジャコメッティを演じるジェフリー・ラッシュが相変わらず素晴らしい。可愛いお爺ちゃん萌えな女子が観たらどハマりするのではないだろうか(笑)。

物語はまるで、舞台演劇の戯曲を思わせるような造形をみせるものの、ハンディカメラで撮ったような、やや被写体に寄り気味のカメラワークが、この作品に"映画であること"の必然性を与えている。高精細で彩度の低い画像も実に美しく、この映画全体にどこか湿り気のある質感をあたえている。舞台はパリの筈だが、なんだかロンドンっぽい感じまでしてくるのだ。

そして、ひたすら一人のモデルの肖像画を描き続けるというシンプルな設定ながら、意外にも映像や音、そして登場人物たちの何気ない絡みの機微が緩やかな変化をもたらし、観るものを飽きさせない工夫がなされている。

また、なによりも肖像画のモデルとなる男(もうひとりの主人公)が、ジャコメッティと関わる日々に次第にハマっていき、次に、いつまで経っても終わらない創作にウンザリし始めるタイミングが、絶妙に観客の感情とシンクロしているという、、この映画独特の建てつけが素晴らしい。きっと90分という比較的コンパクトな尺にも大きな意味があるのだろう。

本作の動画レビューもUPしました!!
よかったら観てください!コメントも大歓迎♫
https://youtu.be/uAUKYcm6iuI