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ジャコメッティ 最後の肖像のchaooonのレビュー・感想・評価

3.7
「ジャコメッティ」一度聞いたら忘れられないインパクトのあるその名前。学生の時に初めてそういう名前のアーティストがいると知ったけど、ちゃんと作品を見たことはなかった。ガリガリの彫刻のイメージ。映画があるならと観てみた♪

気まぐれで、神経質、女癖が悪く、こだわりが強い。
そんなザ・芸術家なジャコメッティをジェフリー・ラッシュが違和感なく演じてる。
本人の顔を調べたら、そっくりだし!

描くのは彼の生涯ではなく、晩年に肖像画に着手した数日を淡々と、彼の日常を交えながら描く。
それでも彼がどんな人間だったか、どんな人生を歩んできたかは、なんとなく分かる。

アトリエを含めて、グレイッシュな色味の画面が陰鬱な日々を静かに彩る♪

すぐ終わるからと、気軽な感じで肖像画を描き出すも、もう1日、また1日と終わりが見えてこない。
モデル役のアーミー・ハマーとの応酬がジワジワくる。
じっとするアーミー・ハマーのをじっくりと見せられる時間が長い!端正な顔!

"必要性がない"
"完成するのは不可能"
そう言い捨てながらも、なぜ彼は肖像画を描くのか。

完成が見えてくると、また潰しては描くの繰り返し。

芸術家ではないけれど、ある人が言っていた。勉強でも仕事でもある程度の到達点に達すると、自分や物事の限界が見えて虚しさを感じると。登り切った先には達成感も満足感もない。登ってる時が楽しんだって。
ちょっとそんなことを思い出した。

最後は実にサラッと終わるのも、拍子抜けだが、なんかいい。
変な説教臭さもなくてカラッとしている。
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