ひろ

5パーセントの奇跡 嘘から始まる素敵な人生のひろのレビュー・感想・評価

4.2
サリヤ・カハヴァッテの自伝を基にマルク・ローテムント監督が製作した2017年のドイツ映画

スリランカとドイツのハーフである青年サリー。先天性の病により視力の95%を失ってしまうが、努力して普通高校を卒業する。ホテルマンになる夢を諦められないサリーは、障碍を隠したまま五つ星ホテルの研修生として働き始めるといった展開

視力の95%を失っているのにホテルマンなんて無理がある設定だと思ったら、実話を基にした作品だっていうから驚いた。ヨーロッパの映画はエンターテイメントなアメリカ映画より脚本に力を入れる傾向がある。人生の真実を描く。それは難しいことだけど、うまくいけばすごく心に響く。この映画は心に響くタイプの作品だ

もちろん目がほとんど見えないのにホテルマンなんて難しい。サリーは素敵な恋もする。でも見てるこちらは心配でたまらない。サリーは諦めない。そんなサリーは人との出会いに恵まれている。研修仲間のマックスはいい加減だけど最高にいいやつだし、他にも手助けしてくれる人達が現れる。人の優しさに泣きそうになる。だけど人生は厳しいもの。何もかもはうまくいかない。挫折した時にどうするか?そこに人の真価が問われる

サリー役のコスティア・ウルマンはこの役のために作者本人からアドバイスを受けたり、特殊なコンタクトレンズで視力を悪くして撮影に挑んだらしい。その成果なのか常にサリーを応援したい気持ちになる。この作品に出てくる人達のような優しい人はいるが、優しい人ばかりでもない世の中。でも優しい人ばかりの世の中があったらいいに決まってる。サリーみたいに前を向いて生きたいと思えたり、サリーの周りの人達みたいに優しい人間になりたいと思えるとても素敵な映画
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