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ソウルメイト/七月と安生のjamのレビュー・感想・評価

ソウルメイト/七月と安生(2016年製作の映画)
4.0
親友、と言えど
それは決して対等な関係を意味する言葉ではない

育った環境
容姿、才能
それらを基に形づくられるその人となり
違うからこそ引き寄せられ、惹かれ合い
そして羨む

13歳で"初めて選ばれて"から、27歳まで
七月と安生の二人にとって
長くて短い刻の記録

はたして男同士であればまた違う感情の触れ合い方なのだろうけれど
奔放な安生と堅実な七月
互いに劣等感を抱き、自分にない輝きを求めてしまうあの感じが痛みとともによみがえる


"七月"によって描かれたネット小説
二人の出会いから
気になる異性、家明を挟んでの三人の関係
をなぞっていく

幾度もぶつかり合い
離れては戻る

それまで心の内を秘めていた七月が
岐路に立った時に放つ言葉

あんたが嫌い 
でもあんたが私の全部なの

あなたは私の親友
憎いけどあなたしかいないの

"影踏みをするとその人と一生いられる"
無邪気に語ったあの頃から
会いたいのは、
一生いたいのは両親でも家明でもない


印象的に流れる音楽に耳を傾け
二人の女優の熱演を見守るうちに
物語は意外な展開を迎え
観終える頃にはなんとも不思議な気持ちに


小学生の頃からの親友、
のお母さん手作りの甘くないクッキーの味と
エプロン姿で弾くピアノの音色を想う



それでも人生は続く
そっと灯台が見守る下で
jam

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