ノラネコの呑んで観るシネマ

52Hzのラヴソングのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

52Hzのラヴソング(2017年製作の映画)
4.2
これはステキな映画。
バレンタインデーの台北を舞台に、恋と幸せに迷う人々を描くミュージカル。
全編「レミゼ」並みに歌いっぱなしだ。
花屋の娘とチョコレート職人、ヒモ状態のミュージシャンとの別れを考える公務員、市主催の合同結婚式に向かうレズビアンカップル。
境遇の違う多くの人々が登場し、内なる悩みや届かない想いが音楽に乗せて噴出する。
往年のハリウッドミュージカルを思わせる画作りも凝っており、ビジュアル、音楽ともに見応えあり。
しかし「セデックバレ」の次がミュージカルとは、ウェイ・ダーション、振り幅が凄いな。
まあ考えてみれば、コレは植民地時代の記憶から解放され、恋愛を人生で至上のものと捉えられる現在台湾ならではの作品で、そういう意味では監督のモチーフ選びはブレてない。
途中やや中ダレするのが残念だが、物語が収束に向かいはじめると、クライマックスに向けて感動的に盛り上がる。