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海の彼方のgenarowlandsのレビュー・感想・評価

海の彼方(2016年製作の映画)
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日本の統治下だった台湾から石垣島へ移民した台湾人の三世代の物語。八月八日に因んで縁起のよい米寿のお祝いのドキュメンタリーを観ました。

語り手は東京に住む孫の慎吾。戦争に翻弄された祖父母の人生を遡っていきます。

台湾と石垣島の距離は300キロ。国境を挟むとはいえ、遠くはない距離。

15年前に一度渡航したが、88歳の祖母の最後の里帰りになるかもしれないと、米寿のお祝いに台湾の旅をアテンドする孫と子ども達。

旅の中で、孫達は、自分のルーツを肯定的に見るように変わっていきます。
台湾ルーツをひた隠しにしていて、沖縄人であることが差別の対象だった時代さえあったから。
旅によって台湾が外国に思えなくなってきたと語ります。

子ども達は、台湾の言葉を理解できるが話すことはできません。
台湾人が差別されていた時代に育ち、台湾の言葉を口にしたいと思わなかったから、親とも台湾の言葉は使いませんでした。

帰化して名乗った日本名は祖父母二人のファーストネームを組み合わせたものでした。その発見に喜ぶ子ども達と孫達。

祖父母が苦労した結果、残したものは大家族でした。子ども7人、孫27人、ひ孫4人。米寿のお祝いに集まった親族は100人!

足腰しっかり、頭の回転は早く、口は達者で、働くこと、おしゃれすることが大好きなおばあちゃん。おじいちゃんは働き盛りの時に亡くなり、家族で支え合って生きてきました。

おばあちゃんの歴史は以下の通りです。昔の人は強いです。どうぞいつまでもお元気でと願いました。

📖王 玉花(玉木玉代)さんのヒストリー

日本の統治下で農業の主力産業が国営化された台湾では生活が苦しくなり、まだ10代だった夫婦は石垣島へ移住。
マラリアの多い土地を開墾しパイナップル畑を営むも、
沖縄の開戦で沖縄人は台湾へ強制疎開させられる。畑は撤収された。

戦後、台湾が祖国復帰すると中国の圧政と汚職腐敗で台湾で暴動が起き民間人が多数殺された。逃げるように闇船で石垣島を目指した夫婦。
飲食店、のちに青果店を営み、子ども7人を育てる。

石垣島はアメリカの統治下であり、家族には国籍がないままだった。

台湾が国連を脱退し、沖縄が日本に復帰すると、中国の影響を恐れた日本政府は国籍が曖昧な台湾移民に日本への帰化を促した。
子ども達にきちんと教育を受けさせたかったので帰化。

台湾に里帰りしたくても、石油高騰で渡航費が高く、300キロの距離は埋まらないままになった。

近くて遠い国になってしまった台湾だったが、15年前に初めて里帰りし弟妹に会い、今回、米寿のお祝いに孫達、子ども達と渡航した。
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