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ファースト・マンのkoyaのレビュー・感想・評価

ファースト・マン(2018年製作の映画)
4.5
私は宇宙飛行士もの、NASAもの映画が大好きです。
架空の宇宙を舞台にしたスペースファンタジーやSF映画もいいですが、1960年代を象徴するような「イベント」であった米ソの対決を描いた映画が好きなのは、自分の年でしょう。

今年(2019年)は、この映画の主人公ニール・アームストロング船長が人類で初めて月に立ってから50周年にあたる年だそうです。
私は6歳でした。当時は白黒テレビでしたけれど、子供ココロに(米ソの対立まではわからなかったけれど)宇宙飛行黎明期に胸をどきどきさせていた子供でした。

毎日のように米ソの宇宙の話が新聞に載ったり、また、飛行や実験が失敗して多くの犠牲者がでたことも覚えています。

アームストロング船長(ライアン・ゴズリング)は、アポロ11号の飛行で月着陸に成功するのですが、チョコレートのアポロというのができたのもこのころだったと記憶します。子供のお菓子にまで宇宙が。

しかし、この映画は、実に堅実で「狭い所」の映画だと思います。
普通、宇宙ものだと広いとか大きいという描き方をするのですが、この映画は宇宙船の狭い船内、またはヘルメットごしの宇宙飛行士の顔のシーンがとても多いのです。

特殊なカメラを使ったそうですが、壮大さよりも、その飛行船の中にいる人間たちをクローズアップしていて、その分、わかりやすい派手さはありません。

ニール・アームストロング船長(船長というよりコマンダーと言っていたから司令官の方が近い)は、真面目、誠実な分、無口であまり感情を表情に出しません。幼い娘を病気で亡くしてもひとり誰もいないところで涙を流す。

奥さんや子供たちともあまりベタベタしないで、命がけの仕事をしている夫を持つ家族の精神的なストレスも描いています。

映画『ドリーム』は、黒人差別がまだあったころのNASAを描いていて、宇宙飛行士たちが宇宙船に乗り込む所で廊下の奥の方で、NASAで働く黒人の人たちがちらっと見えるし、いつもソビエトに先をこされ、飛行は失敗し莫大な税金がと反対運動が起きたり、宇宙飛行士たちのプレッシャーって相当なものだったと思うのです。

ただ、それを大騒ぎせず、流されず初志貫徹する一人の男を丹念に描いたいい映画。
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