ゆめちん

ファースト・マンのゆめちんのレビュー・感想・評価

ファースト・マン(2018年製作の映画)
3.5
ファースト・マン

デイミアン・チャゼル監督とライアン・ゴズリングのラララコンビ、また新たな一面が観れるかもしれません。

空軍でテストパイロットを職業とするニールは、妻ジャネットの看病も虚しく幼い娘を病気で亡くしてしまいます。
そんな深い悲しみを振り払うため、NASAの月面着陸計画の宇宙飛行士に応募し、見事選ばれそのキャリアを歩み始めます。

NASAの巨大施設や宇宙船に搭載された当時のコンピュータの能力は、全部合わせてもたった1台のスマホに敵わないのだそう。
映画"ドリーム"でIBM製コンピュータの誤った計算値を、キャサリンが手計算でやり直し正しい解を導き出すシーンが思い浮かびます。
月面着陸はそうした複雑な"人間力"の積み重ねが背景にある中での偉業達成で、奇跡に近かったのだと思いますし、ある意味無謀な試みだったとも言えます。

そうした背景の中、"初の月面着陸"とい題材を、過剰な演出を抑え余計な部分を極力削り、あくまでニールと家族に焦点を当てたヒューマンドラマに仕上がっているのが好感もてます。
そう作り上げることで、何が彼を突き動かしたのか、何故彼はミッションに選ばれたのか、強い意志が運命を引き寄せる様が濃密な映像から見えてきます。

ニールの遠くを見る目が印象的。
相次ぐ事故、同僚や娘の死、家族からの反発、それらに多くを語らず思いを内に秘め、人前では感情を出さない寡黙なニール、ライアン・ゴズリングはこういう物静かな役がとても似合いますね〜 今作でも素晴らしかった。

そんなニールを支える妻ジャネットを力強く演じたクレア・フォイも、大きな存在感を放ち難しい役を好演。

趣深いラスト、全2作同様チャゼル監督らしい締め方でいい余韻が残るものでした。
次回作も楽しみ!
ゆめちん

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