やま

ファースト・マンのやまのレビュー・感想・評価

ファースト・マン(2018年製作の映画)
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多分今作は雇われて作ったのだろう。この監督の色が他の作品に比べて薄いように思えた。
もっとチャゼル監督の世界観が欲しかったところ。彼の生み出す世界観に皆魅了されていたというのに。


中身はというと、凄く微妙。ドラマも緊張感も薄い。というのも今作はあくまで実話ということであり、でっちあげたり、都合の良い風に書き換えたり極力されてないのだろう。
おそらく一番大切な面は娘の死の受け入れ方という部分だったのだろうけど、様々な要素が多すぎて散漫としている印象。

よほどこの人物を好きになるか、この題材を好きになるかしないと退屈であると思う。


カットも割られすぎ。持続的に力のあるようなカットが全くなかったように思える。映画にのめり込むような瞬間が全くない。
これが自分にとって最大にキツかった。

強いて言えば月に降り立つ瞬間なのだろう。音もなく静かな感じで良い感じではあったが、記念すべき初めの一歩のショットが凄く微妙な構図で、足跡を確認するところは有名なのでそれらしくはあったが、何だかなぁという感じ。(「沈黙」ぐらい大胆な足踏みシーンがあっても良いと思えた笑)

始まりこそワクワクするような感じで、その後も主人公の周りで起きた出来事を省略なんかを駆使してテンポよくしっかりと伝えていて、良い予感を感じたのだけれども。手持ちでクローズアップで撮られていく映像も最初こそはソワソワさせられたりしたが飽きる。一瞬カサヴェテスを思い出したが結局違うなぁと。

NASAへのデモの曲は良かった。

観ている自分は一緒に宇宙に行けず、ただただ退屈な傍観者でありました。


後ラストは、いつもの向き合うような映画であって欲しかったなぁ。見つめあうのに理由はそれぞれ。
これは自分の映画じゃありませんっていう意思表示なのかもしれん笑
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