よし

ファースト・マンのよしのレビュー・感想・評価

ファースト・マン(2018年製作の映画)
4.6
飛行機でファーストマンを観るという至高の体験。
現実の揺れと音が画面の中の出来事に実感を与えてくれて、奇妙な一体感を味わう。
それは目の前の紙コップが不意に浮かび上がりそうな錯覚を覚えるほどだった(ただし地上パートでもずっと揺れてる)。
映画館で観れなかったのはとても残念だったけど、よもやこんな機会に恵まれるなんて、いやー転んでもタダでは起きない男だねえ!いや僕の話はどうでもいいのだ。
これはジェミニ計画、そしてアポロ計画に携わった彼らの物語。

おそらく、強そうな名前選手権アメリカ代表のアームストロング氏(ライアンゴズリングも負けてないくらい強そうやが)。
どこか自分を罰しているような、死に場所を求めているような彼の行動と、不意に虚ろに映った目。
でもそれだけじゃないと信じたい。
言葉にはできない感動が、きっとあっただろう。あんなすごい景色の上に立っていたのだから。

画面がブレて揺れてぐるぐる回るあの臨場感。これは映画か?こんなにも生々しい一瞬を作り出せるのか?
あんな状況、理論もテクノロジーも自分の腕さえも信じれない。いったい何を信じればいいのか。
宇宙という場所で何を支えにできるのだろう。絶対なんてどこにもない場所で。壮絶だったなあ。

この目で見る、という体験は何物にも変えがたいものがある。
文字通り前人未到の偉業を成し遂げた人達を題材にしているのにヒロイックな印象は全く受けなかった。喜びよりは途方も無いほどの無力感。
それでも、月という場所に辿り着いたこの現実はきっと素晴らしい。
よし

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