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ファースト・マンのgolのレビュー・感想・評価

ファースト・マン(2018年製作の映画)
4.1
ラ・ラ・ランドの勢いそのままにの今作、
そんな気がして、
いやいや、そんなに甘やかしはしませんよと、
訳の分からない理由で
劇場スルーをした訳でしたが、
劇場で観ても良かったかなぁと少し後悔。

今作のキモは間違いなく「緊張感」
コレなので、
自宅でソファに踏ん反り返って
伸び伸びとした視聴スタイルは
ちょっと違うんじゃないかなと。
出来れば両隣りに赤の他人が居る、
そんな緊迫感を感じながらの視聴スタイルが
適切なんじゃないかなとw

近年ここまで容赦の無い作品は珍しいなと。
作り方を敢えてそうしているんでしょうが、
大抵の作品でそこは別にグレーにして
流す部分を重箱の隅を突くかの如く、
一つ一つ丁寧に、白黒はっきりさせていく。
それが逆説的に
この月面着陸、現実では既に過去の偉業であり、
映画的には最早話題にすらならない事が、
実はというか、ここまでシビアな挑戦、
ほぼ不可能なミッションである証明のように
観客に伝える、効果的な演出になっている。

前例の無い事を行うという事は
ここまでシビアで、
何一つ甘えを、欺瞞を、
妥協を許してはくれないのだ。

劇中、その事をニールに寄り添う形で
我々は延々と追体験させられる。
そこには普段劇場で我々が楽しんでいる、
映画のワンダーなど存在しない。
人類にとっての貴重あの一歩すら、
ロマンとは似ても似つかぬ、
異世界、地獄への一歩にすら感じる。
ラストシーンのあの隔たりは、
物理的な隔たりでもあり、
同時にお互いの世界の
隔たりでもあるかのようで、
ハッピーエンドには落ち着かせてはくれない。

この容赦のなさ、
エンターテインメントとは対極に位置するが、
映像的な説得力が半端なく、
強引に我々観客を惹きつける。
これはもうチャゼル監督の作家性と言っても
差し支えないと思うが、
どうしたって惹きつけられてしまうので、
個人的には嫌いにはなれないなとw
gol

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