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ファースト・マンのBeSiのレビュー・感想・評価

ファースト・マン(2018年製作の映画)
4.7
"人間にとっては小さな1歩だが、人類にとっては大きな躍進"この言葉を世に広めた3人の男達の偉業を、その中の一人であるニール・アームストロングの視点で描く。愛する我が子の死、同じ仲間として働く者の死...。常に周辺の環境が死と隣り合わせだった彼は、人類初の試みである、アポロ宇宙船での月面着陸を成功させる"アポロ計画"に挑む。なんだかんだ言って、実話に基づくサクセスストーリーと予想し、結果そうであったものの、思っていたものとは少し違った。...暗く、重い。技術進歩が急速に進むソ連との競争、死と間近に関わる仕事の危険性、愛する家族の抱える大きな不安。これらがとても忠実に描かれており、特にニールの妻がその不安を声を大にしてさらけ出した時は、観ているこちらも自然と共感のようなものを覚えた。そして、月面着陸後の"空白の10分間"。およそ50年目にして、ついにその真実が明かされたと感じた。彼らの偉業を陰謀論と唱える者も少なからずいるが、史実に基づいてここまで詳細に描かれている時点でこれが陰謀論である可能性は格段に低くなってくる気がする。映画だけに留まらず、何でも"美化"して良いところばかりを取り上げる実体験や話は数え切れないほど存在しているが、何度も言うように、今作のような実話に基づいてここまで細かく物語が再現されている映画はそう無いだろう。デイミアン・チャゼルの新たな挑戦を描く良作。
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